【とてもコンセプチュアルだった】『ドラえもん のび太の月面探査記』の感想【ネタバレあり】

ドラえもん のび太の月面探査記 来場者プレゼント映画とか本とか

観てきました!『ドラえもん のび太の月面探査記』。

1年前に『ドラえもん のび太の宝島』の感想を書いた記事(これ)の最後で、「異説クラブメンバーズバッジが出てくる大長編は過去に無いから、次も新作になるのかな」って書いてるんですけど、そのとおりでしたね。

今回も、子供を連れていくふりしてがっつり自分が楽しんだドラえもんガチ勢の大人(35歳)の感想を書いていきます。ネタバレ全開なので嫌な人はブラウザバック推奨。

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いろいろなコンセプトに満ちた作品だった

今作の感想をひとことで言うと「とってもコンセプチュアルだった」っていう感じですかね。いろいろなコンセプトがぎっしり詰まってました。メッセージ性が強いと言うか。小さいテーマがいっぱいあるみたいな。

それが良いことか悪いことなのかはいったん置いておくとして、ドラえもん映画としてはこれまでに無かった新しい試みを模索してる感じがすごくしました。

考察する要素がたくさんあるし、気になる矛盾点とかもあるんですけど、ぼく的にはこういうのもありかなっていう感じで楽しめました。ていうか好き。諸手を挙げて、というわけではないけど全然好きですよ。

今作の、鍵を握るというか、特にコンセプチュアルだと思ったポイントをあげていきます。

コンセプチュアルなポイント 1:エスパル

エスパルはカグヤ星に住んでいた夫婦が科学の力で生み出した超能力者たちのこと。エーテルっていう、スターウォーズでいうフォースみたいな力を持っていて、今作の戦いの鍵を握る存在です。今作のメインゲストキャラのルカはエスパルのリーダー。

彼らは超能力者なので、1000年以上前から生きているんですが、外見の成長が10歳くらいの子供のまま止まるっていう特徴も持っています。

これってもう完全にあれじゃないですか?エーテルはひみつ道具を、外見の成長が止まるのは中身が成長しないのび太を暗示してないですか?エスパルってそういうコンセプトの存在なんじゃないかと思うんですよね。

そもそも「ドラえもん」って、のび太がドラえもんの助けを借りて成長していく物語じゃないですか。ただ単にジャイ子との結婚を回避させてしずかちゃんと結婚させるだけでいいのなら、ドラえもんが子供時代ののび太のもとにやってくる必要は無いので。しずかちゃんと結婚させる、つまり立派な大人に成長させることを目的としている物語なので、のび太は成長していかなくちゃいけないんです。絶対に。

「なんでも出来る超能力を持った子供みたいな大人」っていうエスパルの存在は、のび太の置かれた境遇とリンクしています。ラストシーンで、ルカたちエスパルは「普通の人として生きていきたい」と言って、ドラえもんが異説クラブメンバーズバッジの力でその夢を実現させます。エスパルたちは本当の意味で大人になったっていうことです。この彼らの選択を見て、のび太が何を思ったのか。これが今作で一番大事な部分で、そういう意味では今作の物語の結末はゴールではなくスタートだと感じました。うん、やっぱりメッセージ性強い。

コンセプチュアルなポイント 2:ディアボロ

今作のあらすじを超適当に説明すると、のび太たちが月に行って遊んでいたら、カグヤ星から悪の手を逃れてきたエスパルっていう人たちが住んでることが分かって、彼らを助けることに。敵はエスパルの力を利用してカグヤ星の破壊&地球への侵略を企んでる。敵の親玉であるディアボロの正体は、カグヤ星で作られたAI搭載の破壊兵器でしたー!っていう感じ。

このディアボロっていうAIが最後にドラえもんとトークバトルするんですけど、ここがもうドラえもん映画にしてはあまりにもメッセージ性が強くて。鑑賞から数日経ってしまっていて一語一句はっきり覚えているわけではないですが

ディアボロ「ワシは人間の想像力によって造られた…想像力が破壊を生み出すのだ…フフフ」
ドラえもん「想像力は人への思いやりだ!それを諦めた時に破壊が生まれるんだ!」

みたいなこと言ってて。

ディアボロとドラえもん、対になる存在として描かれてますよね。どちらも人の想像力から作られているけど、動機が真逆。光と影。こんなヴィランはドラえもん映画には今までいなかったです。今までのは金儲けor地球の支配or地球のリセットが目的、みたいな敵ばっかりで別にドラえもん映画じゃなくてもよくない?っていう感じだったので。

それと、これは疑問というか不満点なんですけど。ディアボロの正体が明かされるまでは、ギガゾンビみたいな感じのキャラクターなんだろうなーって思ってたんですよね。そんで、そいつさえ倒せばオールオッケーだと思うじゃないですか普通。一応そういう感じでディアボロ倒してハッピーエンドで終わるんですけど、なんかちょっと引っかかってしまって…。だって、何も解決してなくない?ディアボロが機械ならそれを作った人がいるはずですよね?それが何も解明されてないし、カグヤ星の人たちがディアボロを指導者として認めてるみたいなシーンもありました。これなんかスッキリしないんですよね。カグヤ星の人たちが犯した過ちにたいする言及がないのは物語としてどうなの?不完全じゃない?

やるなら、のび太達によってディアボロが倒されたあと、カグヤ星の大衆が「私たちは今まで何をしていたんだ…」とか「あんな恐ろしい機械を作ってしまっていたなんて…」みたいなシーンを描くか、カグヤ星人の悪者(マッドサイエンティストとか政治的な独裁者とか)が一人いて、そいつの独断でディアボロが作られて、最後ディアボロと一緒に倒されるとかにすれば良かったのに。

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新しい要素が盛りだくさん

コンセプチュアル(もはや言いたいだけw)でメッセージ性が強いっていうのはドラえもん映画としては新しいってことを言ってきたんですけど、それ以外にも細かい部分でこれまでのドラえもん映画と違う点がたくさんあります。

例えば、のび太の部屋に積まれている本が、いつもは「ゴロゴロコミック」とかなんですけど、今作では「宝島」「いぬねこずかん」「日本の歴史(だったかな?)」になっていたり、机の上にはノビタオーラ号のボトルシップがあったりして、旧作との繋がりを感じさせる点とか。

物語の季節が秋なのもなかなか違和感がありました。これまでの冒険はほとんど夏休みでしたからね。夏休みが終わって新学期になったからなのか、のび太たちのクラスに転校生が来るんですけど、これもまたドラえもんとしては斬新。ちなみにその転校生はルカで、ゲストキャラの方からのび太たちに積極的に接触してくるのも斬新。

映画の冒頭がこんな感じなんで「いつもとだいぶ違うぞ…」って思っちゃいました。

日常ループものの代表作であるドラえもんで、こんなにも時間や季節の移り変わり、前後の繋がりを意識させるのはやっぱり脚本の辻村深月さんの影響が大きいのかな。

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印象に残ったセリフ

印象に残ったセリフたち。例によって一語一句はっきり覚えているわけではないけど…。

のび太「ただ友達っていうだけで助けていい理由にだってなるんだ」

これは予告2の動画でも使われていました。「友達って?」みたいなことを言ったルカに向かって。すごく良い。のび太の行動原理ですよね。

スネ夫「前髪が決まらなくってさ」

これ、今作で一番泣きました。いったん月から離れたのび太たちがもう一度月に向かうシーンです。「たぶん戦うことになるから、来たい人だけが来て」みたいな展開で、約束の夜7時になってもスネ夫だけはなかなか来ないんですよね。で、一番最後にやっと来たときに言ったセリフです。スネ夫の役割ってそういうことじゃないですか。ジャイアンものび太もしずかちゃんですら、無謀さとか勇敢さってちょっと常軌を逸してるような部分があると思うんですけど、スネ夫はそれにブレーキを掛けるというか、いちばん普通の感覚を持ってて、多くの人が共感できる存在だと思うんです。月面で宇宙人と戦うとか、ぼくでも「こわいよーママー!!」ってなりますよ。スネ夫が各所でこういう感じでリアリティを出すことによって物語に深みがでますよね。この、一度帰って再集合の展開は間違いなくスネ夫のための場面で、今作屈指の名シーンだと思います。

ドラえもん「エーテルの力があればもっと良い暮らしが出来そうなのに」

これは悪い意味で印象に残ったやつ。月の裏側の地下で悪いカグヤ星人から隠れて生活しているエスパルたちの生活をみたドラえもんのセリフ。いやお前が言うんかい。ドラえもんがそういう考え方をするなら、のび太にお金儲けが出来る道具とか、しずかちゃんがのび太にぞっこんLOVE(死語)になる道具とか、テストで100点が量産できる道具とかをバカみたいに提供しまくってないとおかしい。エスパルたちは、その力の使い方に迷いながら、自制して、裕福とは言えないけど、自給自足の豊かな生活してるように見えたよ。このセリフはドラえもんじゃなくてスネ夫に言わせるべきだったと思う。

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他のこまかい気になった点とか

なんか文句ばっかり言ってる感じになってて申し訳ないけど。

お約束の「世界を作る→救う」の展開のコレジャナイ感

今作のはなんかワクワクしなかったんですよね。例えば日本誕生とか雲の王国とかめちゃくちゃワクワクしたのに。たぶん異説クラブメンバーズバッジのせいだと思う。のび太たちが作った小さな異世界が、この世界のどこかに実際にあるかも…っていうのがワクワクするポイントなのに。ムビットたちの住む月面の世界はバッジつけないと見えないからなぁ…。

しずかちゃん?バッジ外しちゃダメじゃん

上にも書きましたけど、のび太が作ったムビットたちの住む月面の世界が見えるのは異説メンバーズバッジをつけている人だけです。バッジを外すとただの岩だらけの月面なので呼吸も出来ないってドラえもんも注意してたのに。終盤普通にしずかちゃんバッジ外しちゃうのなんでなん。一瞬だけだから大丈夫ってことなんだろうけど、それならまたバッジつけた時にぷはーって息切れするとかさ。

わすれろ草はもう使わないで

わすれろ草ってひみつ道具、微妙だから嫌いなんですよねー。初登場はコミックス9巻。匂いを嗅がせると、その人がその時に考えていたことを忘れる&その間に嘘を吹き込みやすくなるっていう道具なんですけど。悪用以外の使いみちが分からない道具じゃないですかこれ。しかも効果が強烈で、今作でもやっぱりドラえもん本人が匂い嗅いじゃうっていう失敗してる。暴れるうさぎ怪獣をおとなしくさせるのと、エスパルたちの存在をカグヤ星の人たちから忘れさせることに今回は使用されたんだけど、うさぎ怪獣に関しては暴れてる理由が分からないから何を忘れさせたかも分からない。そのあとずっとおとなしくなってるのもおかしいしね。

エスパルはなんのために作られたの?

今作最大の疑問。たぶんこの映画を作った人たちもそんなに深く考えてないかもだから、ぼくももう考えません。答えがなさそう。ただ、もしかしてディアボロを作ったのもルカたちの両親なんじゃ??って思いついたらすべてが繋がる気がしてきた。けど長くなりそうだから書きませんw

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次回作はなんだろう

今回、最後に流れた予告の映像は「恐竜」でした。ツイッターとかでも早くも次回作の予想で盛り上がっててます。「のび太の恐竜」の再リメイクじゃないか派と、「ドラえもんのび太と竜の騎士」のリメイクじゃないか派がいるみたいで、もりあがってて面白いです。

ぼくの希望としてはリメイクじゃなくてぜひまたオリジナルでやってほしい。次回作は映画40作目だし2020年だし、なにかときりが良い感じなので、ドラえもんらしさを守りつつも、なんか派手に誰も考えつかないようなことやってほしいなー。

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